1/31|CINGAヨーロッパ5か国現地視察報告会(対面・オンライン)
1月31日、GLOBAL VILLAGE 有楽町ハウス(東京都千代田区)にて、CINGAヨーロッパ5か国現地視察報告会を開催しました。
この視察は、CINGA設立20周年を記念し、2024年7月にヨーロッパ5か国で、各国の移民受け入れ政策や多文化共生の取り組みを学び、日本での実践にどう活かせるかのヒントを考えるために実施したものです。
報告会当日は、多文化共生を推進する自治体関係者や国際交流協会職員、外国人支援者の皆様が会場に集まり、会場は満席に。オンラインでも200名以上が参加を希望し、専門家の講演を交えながら活発な議論が交わされました。
セッション1:スペインのバルセロナ・バスク視察
「非正規移民の正規化のプロセスを支える連帯経済と『反うわさ戦略』」
報告(関聡介/弁護士、小田川綾音/弁護士、藤田雅美/医師、上野貴彦/都留文科大学)

セッション1のスペイン視察報告では、移民が仕事を持つことを入口に尊厳ある生活を築くための社会的連帯経済、滞在正規化の制度を活かした取り組み、従来の同化主義・多文化主義を乗り越えるアプローチである間文化主義、そして、地域住民と移民との間の摩擦を予防・早期発見・早期対応する「反うわさ戦略」について議論が交わされました。
セッション2:スウェーデン・デンマーク視察
「公立図書館における多文化サービスと言語カフェ活動」
報告(阿部治子/むすびめの会、萬浪絵理/CINGA地域日本語教育コーディネーター)

セッション2では、スウェーデン・デンマークの視察報告として、図書館司書と日本語教育コーディネーターの視点からお話を伺いました。図書館という公共空間で現地語教育がオープンに実施されることで、市民が多文化共生を目にし、体感しながら意識が広がっていく様子が紹介されました。また、共生を支えるデザインや空間づくりの重要性についても、示唆に富む報告がありました。
セッション3:ドイツのパーダーボルンとフランクフルト視察
「言語保障政策をいち都市で丁寧にみる~ソーシャルワーカー、語学教師、行政職員等の連携の視点から~」
報告(近藤花雪/社会福祉法人日本国際社会事業団 、中河和子、神初奈津子/トヤマ・ヤポニカ、土井佳彦/多文化共生リソースセンター東海 、萬浪絵理/CINGA地域日本語教育コーディネーター)


セッション3では、ドイツの民間移民支援団体と言語保障政策に基づくドイツ語教育を実施する語学学校の視察報告がありました。さらに、ドイツの社会福祉サービスの仕組みや、語学教師とソーシャルワーカーが連携しながら移民支援を行う取り組みについても紹介されました。
一日を通して各国の移民政策や取り組みを学ぶとともに、専門家の視点から「日本で今何を始めるべきか」についてご意見をいただきました。さらに、関係者内の議論にとどまらず、多文化共生に関心のない層へも対話を広げていく重要性を再認識する機会となりました。
CINGAでは、今後も、多文化共生を推進する皆さまとともに、より良い地域づくりについて考えていきます。
改めまして、本報告会の開催にあたり、多方面からのご協力に心より感謝申し上げます。