専門家による相談 2023年度実施報告
CINGAが実施する専門家による相談
定期的な専門家による相談事業として、2つの事業を実施しています。事業詳細 ⇒ https://www.cinga.or.jp/consultation/
① 外国人のための遠隔無料専門家相談会
下の②の「外国人対応者のための相談室」で受けた相談の中で専門家につなぐ必要があるケースについてオンラインによる相談を予約制で月2回(4枠)定期的に実施しています。
外国人問題を専門とした弁護士や精神科医、行政書士、教育専門家などの専門家が相談対応を行い、必要な場合には通訳も無料で付けています。
定期開催のほか、代々木公園で開催されたベトナムフェスティバル(Reports)に出店して、専門家と通訳が対面で相談対応をしました。
② 外国人対応者のための相談室
全国の国際交流協会や社会福祉協議会、行政機関などの相談員や職員のための相談先です。
在留資格の正確な知識を確認したいときや、本当にこの対応でよいのだろうか?といった現場での疑問や悩みを相談できます。相談に対応するのは行政書士・社会福祉士です。予約は不要、週に3日実施しています。
2023年度(2023年4月1日~2024年3月31日)に専門家が対応した相談の統計を下記にまとめました。
■ 相談ケース数
前年度と比べ、さらに相談者数が増加し、2023年度は237件の相談対応を行いました。
内訳は、①の専門家相談で行った弁護士による相談が49件、行政書士が10件、精神科医7件、臨床心理士1件、教育相談員2件でした。 ②の外国人対応者のための相談室で行った行政書士・社会福祉士による相談は169件でした。
■ 相談当事者の出身国籍・地域
当事者の出身国・地域は昨年度と比べてさらに多岐にわたりました。
国際交流協会や社会福祉協議会で当事者が母語とする外国語の対応がない場合には、込み入った相談に対応するには限界があります。そうした時に弁護士や行政書士、精神科医との相談を設定し、通訳を付けて専門家に相談できる場を作りました。
■ 相談テーマ別
2021年度、2022年度と比較しています。外国人特有の課題として、在留資格の安定性が他の課題に影響を及ぼすことがあり、同時並行して検討をすることになることが多々あります。
2023年度の特徴として、引き続き在留資格の課題が多かったこと、そして、福祉の課題を抱えるケースが増えました。例えば短期滞在で来日中に重い病気が発覚して医療費の支払いが困難になっていたり、日本人の配偶者と離婚や死別して精神的な問題を抱えているケース、DVにより避難しているが相手側にいる子を引き取りたいケースなど、すぐには解決策を見出すには難しい内容が多くありました。
■ 相談元の属性
引き続き国際交流協会からの相談が多くありましたが、2023年度は福祉機関からの相談が増加しました。
福祉事務所や生活困窮窓口、社会福祉協議会といった地域の福祉の窓口に外国人がつながっていることが分かります。
CINGAの専門家相談につながるケースは、日本で出身国のコミュニティに入っていなかったり、来日して日が浅く誰にどのように相談をしてよいのか分からず、地域の相談窓口につながるケースが多いです。CINGAにつながり、正確な情報を得て課題解決を一緒に考えることができれば、ご本人が次に進むための大きな一歩になりえます。
問題を抱える人が専門家に相談ができたということは一つの成功体験となり、外国人本人が日本で何ができるのか、どのように暮らしたいのかを決定するためのエンパワメントの側面もあると感じています。
2024年度も引き続き、外国人対応者のための相談先として、全国からご相談を受け付けています!