CINGAの外国人相談事業の経緯
東京出入国在留管理庁主管の外国人総合相談支援センターは、国が2008年に策定した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」に盛り込まれた 「多文化共生を可能とする社会基盤の整備」に沿って、09年に法務省の施策として設けられた「外国人のワンストップ型の総合相談窓口」で、埼玉県と浜松市にも設置されています。新宿と埼玉のセンターは、2012年度、2014~16年度、2019年度から2023年度までCINGAが事業を担いました。
CINGAが運営に乗り出した最大の目的は、「外国人の立場に寄り添う相談業務」を実現したいと考えたためです。センターは、「生活相談窓口」として開設されながらも、在住外国人などの日常の暮らしの相談に対する本来の「ワンストップ機能」を十分発揮できていない状況が見られました。本来の窓口の意義が十分活かしきれていないことから、都内で専門家相談の実績がある専門家集団のCINGAの強みをプラスすることによって、まさに「ワンストップ型の相談窓口」として機能できるようにしたいと考えました。
また、この経験を活しかし、外国人技能実習機構の母国語相談センターについては、2018年度、2019年度、2020年度9月1日以降から、CINGAが相談業務を行っています。そのほか、東京都外国人新型コロナ生活相談センター、外国人コロナワクチン相談センター、避難民生活相談センター(Support-R)、ウクライナ心のよりそい電話、JP-MIRAIアシスト相談救済センター等、世の中のニーズに応じてセンターも開設してきました。センターでは、多言語で専門性の高い相談員と共に、コーディネーターを配置し、相談対応を行っています。
相談員はただ単に言葉ができるだけで務まるものではなく、専門的知識、相談技術のほか、倫理的規範をもちつつ、思いをもった対応が求めれます。また、相談センターにおいてコーディネーターが重要な役割をもっています。コーディネーターは、経験値、言語レベル、文化的背景が異なる相談員を育てつつ、相談内容を的確に把握し、必要な情報を提供したり、ネットワークを活かして、より専門的な組織等へつなぐこともあります。そして、個別課題の中から、社会的な課題を見出し、その解決にむけた新しい仕組みを提言したり、つくりだすのがコーディネーターの大切な役割であるとCINGAは考えています。
書籍出版 CINGAが行ってきた外国人相談の実践と研究をまとめた1冊
『これだけは知っておきたい!外国人相談の基礎知識』(松柏社)
(監修)杉澤経子 (監修)関 聡介 阿部裕
判型A5判 ページ252
ページ価格2,300円(税別)ISBN978-4-7754-0219-1
発売日2015年6月15日
外国人相談に関わってきた弁護士、行政書士、社会保険労務士、精神科医、臨床心理士、研究者など各分野の専門家が、豊富な経験に基づきわかりやすく解説。在住外国人と交流するすべての人に必要なノウハウを網羅。外国人相談の担い手の専門性とは何か、外国人相談の企画・運営はどのように行ったらいいのか、実践的な知識と知恵が全て詰まった一冊。
https://www.shohakusha.com/book_detail/301