#020 国際的な相続手続き、どうする?
週の真ん中水曜日。
こんにちは。専門家相談コーディネーターの青柳です。
年々、外国人が永住者として日本に暮らす人の数が増えています。
法務省のHP https://www.moj.go.jp/isa/content/001403955.pdf
この資料の3ページ目にある在留資格別のグラフで、永住者の数が少しずつ増えているのが分かります。2023年6月末時点で、永住者(一般)は約88万人、特別永住者(在日コリアンなど)は約28万4千人です。
この2つを合わせると日本に住む外国人全体の35%ほどが永住者となります。
特別永住者は戦前から日本で暮らす在日コリアンやその子孫が中心で以前より高齢化が進んでいました。
一方、日本人と結婚をしたり、仕事や留学で来日したことをきっかけとして永住者(一般)となった人たちは今後、自然な流れで日本で歳を重ねていくことになり、亡くなるケースも多くなってくるものと思われます。
外国人対応者のための相談室では、全国の国際交流協会は社会福祉協議会、自治体の窓口で外国人に対応する職員さんから対応方法について相談を受けていますが、その中で相続に関する内容もちらほら出てきました。
少し専門的な話になってしまいますが、日本で亡くなった方がいる場合、どこの法律が適用となるかは、法の適用に関する通則法という法律で決められています。
法の適用に関する通則法 (相続)第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。
被相続人とは亡くなった人のことですね。つまり、亡くなった人の国籍の法律が適用されます。亡くなった人が外国人の場合はその国籍や州の法律で定められている相続人の範囲や相続の割合などが適用されます。
では亡くなったのが日本国籍で、残された家族(相続人)が外国人の場合はどうでしょうか。上の法律の通り、被相続人は日本国籍なので日本の法律が適用されます。そして、残された相続人が外国人であっても、親族関係は変わらず、日本の法律となります。
大変な手続きとなるのが、相続人が海外に住んでいる場合でしょう。海外には日本の印鑑証明の制度がありませんし、現地の役所は日本語が通じませんから、書類などは現地語に訳してサイン証明を受けてもらうことが発生します。
また、裁判となると年単位で時間を要することになります。
どこの法律を適用するかややこしくなるのが、亡くなった人が2つ以上の国籍を持っていたり、海外に不動産がある場合です。
こうした場合の判断や手続きは非常に複雑ですので、国際的な相続手続きを扱う専門家に相談することをお勧めします。一般的な手続きであれば行政書士、そして、土地の登記が絡むのであれば司法書士が実務的に詳しいことが多いです。紛争性がある場合は弁護士に相談すると裁判も視野に入れて相談してもよいかもしれません。
海外が絡む相続手続きに詳しい専門家は多くないかもしれませんが、時間が経つとそれだけ事態が複雑になる可能性があります。早めに相談されることをお勧めしています。
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